眠らずに生きる人間が、本当にこの地上に存在するのだろうか。
ベトナム中部の都市・ダナンから少し離れた村に暮らす一人の老人──Thai Ngoc(タイ・ノック)さん。
彼は61年間一度も眠っていないという驚くべき人物だ。
■ 戦争がもたらした「不眠」
Thaiさんの人生に劇的な転機が訪れたのは、若き日のベトナム戦争。
彼は戦闘中、南ベトナム軍の銃撃により右腕を負傷した。
その時の光景が忘れられないのではないのかと言われている。
医師によるMRI検査では、左脳の一部が平均より発達している以外には目立った異常は見つからない。
毎年の健康診断でも、身体的な不具合はほとんど見つからず、むしろ誰よりもよく働き、村でも尊敬を集める存在だ。
■ 夜にも働く、80歳の米酒職人
現在Thaiさんは80歳。
しかしその年齢をまったく感じさせない働きぶりで、日中は畑仕事をこなし、夜は自らの手で40度の米酒(ネプカム)を醸している。
本人は「眠りたい」と願っている。
自家製の強い酒を飲んでも、眠気は訪れない。
その願いが果たされることは今もないが、それでもThaiさんは、毎晩同じように土を耕し、酒を仕込む。
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