依頼内容:「リョウスケになりたい」
依頼者は 大上直美さん(52歳)。担当探偵は スリムクラブの真栄田賢 さんです。
依頼の内容は以下の通りでした。
「リョウスケになりたい。なぜ息子がラグビーをこれほど愛し、東福岡高校を目指していたのか知りたい。」
その切実な問いの背景には、亡くなった息子・稜介(りょうすけ)くんへの思いがありました。
■ 稜介くんが遺した情熱と突然の別れ
稜介くんは6歳からラグビーに打ち込み、8年間ひたむきに努力しました。学業でも学年トップを取り、ラグビーのために勉強も怠らない少年でした。
しかしある日、疲れたと言って入った風呂場で溺死。14歳で急逝しました。原因はおそらく不整脈などによる不慮の事故と考えられています。意思は「誰も悪くない亡くなり方」と言いました。前日まで元気だったため、家族にとって衝撃は大きく、父は「仕事をしている方が忘れられる」と語るほどです。
稜介くんは9歳のとき、カメラの前でこう宣言していました。
「ラグビー日本代表のレプリカジャージは着ない。僕は将来“本物”を着るから。」
その想いが、彼のラグビーにかける強い決意を物語っています。
■ 東福岡高校への強い憧れ
稜介くんは東福岡高校への入学を強く望んでいました。スポーツ推薦がなくても一般入試で合格するつもりで、学力1位を維持していました。ラグビーをやりたいという情熱で満ち溢れていました。
■ 東福岡高校ラグビー部、特別な受け入れ
東福岡高校は日本屈指のラグビー強豪校。通常であれば軽く扱われてもおかしくない企画でしたが、直美さんの真摯さに心を動かされた ラグビー部顧問・上杉愼二先生 と 監督・藤田雄一郎先生 が特別措置を取りました。直美さんはチームの153人目の入部者として迎えられ、以後「リョウスケ」の愛称で呼ばれるようになります。
■ 練習で見せた母の本気
実戦さながらの激しい練習に、直美さんは一切弱音を吐かずに挑み続けました。
タックルを受けても、何度転んでも、すぐに立ち上がり、最後まで職員や部員たちと共に汗を流します。
彼女自身も、今回の依頼が「無茶なお願い」だと分かっていました。
それでも、東福岡高校の皆が真剣に付き合ってくれたことに、心から感謝していました。
その姿には、「本気で挑む母の強さ」と「支える仲間の温かさ」が溢れていました。
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