北イタリアの山あいに、まるで異世界のような共同体「ダマヌール」が存在する。 通貨、言語、憲法、文化、さらには地下神殿まで——。 ここは、国家とも宗教とも一線を画す、独自の文明を築いた“社会実験の村”だ。
YouTubeチャンネル「Buppa Shota」では、実際にダマヌールを訪れた体験動画が公開されている。 日本人の目線から見ても新鮮で不可思議なこの共同体は、単なる観光地ではなく、人間社会の在り方に根本から問いを投げかけてくる。
独自の通貨と言語、そして“憲法”まで
ダマヌールには、法定通貨とは異なる地域通貨が流通している。 日常的な買い物にも使われ、外部経済との接点を残しつつも内部での循環を大切にしている。
さらに驚くべきは、イタリアの憲法にのっとったうえで制定された“ダマヌール独自の憲法”が存在することだ。 これは自己決定権と自律性の象徴であり、国家としての「ミクロなモデル」を目指しているようにも見える。
神秘と芸術が融合した“地底神殿”
ダマヌールを語る上で外せないのが、「地底神殿」と呼ばれる巨大な地下建築だ。 内部には「勝利の間」など複数の部屋があり、それぞれ異なる“エネルギーの流れ”に基づいて設計されている。
ただし、イタリアでは当時、地下建築が法律で認められていなかったため、住民たちはこの神殿を15年間秘密裏に掘り続けた。 1992年にイタリア警察の家宅捜索を受けたものの、宗教的弾圧や犯罪性は認定されず、現在も存在している。
植物との会話、宇宙人の存在——受け入れる社会
ダマヌールでは「植物と会話できる」と本気で信じている人々がいる。 また、宇宙人の存在や神聖幾何学、エネルギー論に基づいた生活スタイルも広く受け入れられている。
スピリチュアルな側面は強いが、訪問者に信仰を強制するわけではない。 創立者は「私のことは信じなくていい」という寛容性があり、それがこの共同体の大きな魅力となっている。
カルトなのか、理想郷なのか
確かに1990年代にカルト的疑惑で捜索された過去はある。 しかし、強制的な勧誘や財産搾取といった報告はなく、住民はむしろ自発的にここでの生活を楽しんでいるように見える。
設立当初は何もないところから生み出すために全財産を投入した人たちが多く、それが搾取しているのではないかと疑われたようだ。入信するのに全財産をささげないといけないというわけではないようだ。
また、経済的にも閉鎖的ではなく、ダマヌール市民でも外部へ働きに行ってお金を稼いでくる人もいるし、反対にコミュニティにある学校に地域の子供たちが通っていたりもする。
ダマヌールの子供たちの将来は「子供たちが決めるべき」ということで、ここでの生活を強制することもない。
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